遺産分割の方法
遺産分割の方法には、以下の4 つの方法があります。
遺産をそのまま現物で、相続人ごとに分ける方法を現物分割といい、遺産分割の一般的な方法となっています。
特定の相続人が遺産の現物を取得し、その代償として、他の相続人に対し債務を負担する(具体的には、金銭その他の資産を渡す)分割方法を代償分割といいます。この場合、遺産分割協議書には、代償分割によって遺産を分割したことを記載しておくことが必要です。
遺産を売却して換金し、その換金した金銭を相続人で分ける分割方法を狽価分割といいます。換価分割をした場合、相続人ごとに譲渡所得が発生することがあります。
1 つの遺産を2 人以上の相続人が共有持分で所有する分割方法を共有分割といいます。
遺産分割の際の留意点
遺産分割に際しては、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の評価減の活用、分割後の税負担、あるいは二次相続までを含めた相続人の次の世代のことなど、さまざまな面を考慮して慎重に行うのがよいでしょう。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書の様式は自由ですが、亡くなられた方と相続人を特定し、不動産の表示は登記事項証明書の記載のとおりとします。
また、遺産を取得しなかった方も含め、相続人全員で氏名を自署し、実印を押印します。
遺留分は確保できます
遺言により遺留分が侵害されたときに、自己の遺留分を主張して侵害されている財産を取り戻す意思表示をすることを遺留分減殺請求といいます。遺留分制度とは、一定の相続を受けられる権利を持っている人(遺留分権者)のために、遺産のうち一定割合を法律的に取得できることを認めた制度です。
遺言でもこの遺留分は侵すことができません。遺留分権者は、配偶者、子、親(直系尊属)で、兄弟姉妹には遺留分はありません。
この請求は必ずしも行わなければなら砿いというものではありません。遺留分の減殺請求をするときには、遺留分が侵害されたととを知ったときから1 年以内、また、相続開始のときから10年以内に行わなければなりまぜん。
遺留分減殺請求の方法
特別な定めはありませんが、相手方に確実に減殺請求の意思が伝わる必要がありますし、また、請求の時期も問題になるため、通常は内容証明郵便により行います。
遺留分の割合
子と配偶者の場合…それぞれ法定相続分の2 分の1
親の場合…………法定相続分の3 分の1
兄弟姉妹の場合……遺留分なし
相続の放棄をする場合
遺産には、不動産や預貯金などの財産よりも借入金のほうが多い場合もあります。乙のような場合、相続人は亡くなられた方の財産-債務の一切を相続しないとすることができます。これを相続の放棄といいます。また、一定の方(例えば長男や事業を承継される方など)にすべての財産を相続させたい場合にも、ほかの方々が相続の放棄をすることがあります。
相続の放棄は、相続開始を知った日から3 ヵ月以内に、家庭裁判所に対し、「相続放棄申述書J により放棄の申述をするととが必要です。この相続の放棄は、相続人が複数いる場合でも単独(1人)で申し立てることができます。
相続の放棄と非課税枠
相続の放棄をすると、通常、相続放棄者は相続税が課税されることはありませんが、生命保険契約の受取人になっていたため死亡保険金を受け取った場合などは、相続税が課税される場合もあります。との場合、相続人に対して適用される生命保険金等の非課税枠は使えませんので注意が必要です。
条件つきで相続をする場合
亡くなられた方の財産の範囲内でのみ債務を承継するという条件付相続を限定承認といいます。限定承認を受けるためには、相続開始を知った日から3 カ月以内に家庭裁判所に対し、「家事審判申立書」により申立をしなければなりまぜん。この限定承認の申立は相続人全員が共同で行う必要がありますので、1 人でも同意しない人がいる場合には限定承認はできません。
限定承認
亡くなられた方の財産を換価して債務を弁済し、遺産が残れば相続し、弁済しきれ忽い債務が残った場合には相続人は弁済する責任を負わない制度です。